秋葉原48シアター構想

昨年9月号の「Will」に掲載された秋元御大のコラム「ヒットの予感」。
今読み返すと、いろいろな意味で面白い。


次のアイドルはどこから誕生するか?



業界関係者は、目を凝らし耳を澄まして、その予兆を察知しようとしている。そして、やはり、秋葉原から生まれるだろうというのが、大方の予想である。



なぜなら、秋葉原に集まる 「萌え系(オタク系)」の若者のエネルギーは、目を見張るものがあるからだ。



アイドルが誕生するためには、まず、一部の熱狂的ファンの力が必要不可欠なのだ。



ドミノ倒しの初めの一個目。



これが、倒れないと、大衆まで広がらない。                       



秋葉原で開かれるグラビアアイドルのサイン会は、どこも満員盛況だそうだ。



「萌え系」の人たちには、独特の情報網と行動力がある。



今、音楽業界でCDが売れなくなって来ているのも、わざわざCDショップまで買いに行きたくなるようなものがないということだろう。



テレビやラジオから流れるだけでは、もはや、CDを買いに行こうというモチベーションが上がらないのである。



自分たちだけの秘密となるような仕掛けが必要だ。



イベントから、コンテンツを作るのがいい。



僕は考えた。



秋葉原に情報発信基地を作ろう。



そこで、二十一世紀型アイドルを誕生させよう。



それが、今年の十月にオープン予定の「秋葉原48シアター 」である。



月曜から金曜までは、毎日、十七時、土日、祭日は、十一時、十三時、十五時、十七時の四回、三十分のショーを行なう。



ショータイム以外は、ビデオコンサートを流したカフェとなる。



早い話、劇場と今、流行の「メイドカフェ」をあわせたようなものを想像して貰えればいい。



つまり、二十一世紀型のアイドルのコンセプトは、




「会いに行けるアイドル」。




秋葉原に行けば、いつでも、会えるというのがミソだ。



劇場兼カフェには、一軍二十四人、二軍二十四人のアイドル予備軍がいて、ウェイトレスをしながら客の人気を獲得し、ステージの主役を射止めるのである(全員が、ウェイトレスをするわけではない)。



「萌え系」のファンが、自分の贔屓の女の子を応援してスターに仕上げて行く、アイドル育成シュミレーションゲームのリアル版だ。



先に、劇場で盛り上げ、その噂を聞きつけたマスコミによって、一気に秋葉原の熱気が日本を席巻するという寸法である。



僕の思惑通り、秋葉原48シアターはブレイクするだろうか?

当初の構想の名残りは、そこかしこに見られるものの、現実的には様々な軌道修正が成されて「今」に至っている。
企画屋さんのプランを100%実行するのは、なかなか難しく、実施運営に携わる現場スタッフの力量に負うところが大きい。
で、企画面での綻びの部分を、現場レベルでフォローし続けているのが、現在の戸賀崎さんの試行錯誤であるわけで、ことに運営面における現状の難易度の高さは傍から見ていても思わず唸ってしまうことが多い。
まぁ企画屋は現場運営のことなんて殆ど考えない*1から(笑)。
運営面に関しては、今後も延々とバタバタしそう。というか劇場があの場所にあのままである限り、永久に問題は尽きないんだけどね。

*1:私も「企画屋」なのでよくわかる